犬が水を大量に飲むのは病気のサイン?飲水の量と注意すべき症状とは
公開日 2020.11.24 更新日 2024.11.18「最近、水飲みがすぐに空になっている」「さっきも飲んでたのに、また水を飲んでいる」「一度に水を飲む量が多い」など、激しい運動もしていないのに、愛犬が水をがぶ飲みしている事はないでしょうか。
残念ながら、こうした様子は病気のサインかもしれません。すぐに検査を受ける必要がありますが、まずはどの程度、水を飲んでいるかを把握することも大切です。そこで今回は、犬が水を大量に飲む場合の症状や病気について解説していきたいと思います。
水を大量に飲むという「サイン」
普段から愛犬が飲む、水の量は把握しているでしょうか。犬が「水を大量に飲む」という行動は、実は病気のサインの一つとして判断することができます。
一般的に、犬が1日に飲む水の量は体重1kgに対して50ml〜100mlが目安となります。
3kgの犬であれば300ml、5kgの犬であれば500mlのペットボトル1本分という目安になりますが、犬の体に異常が見られる場合には、5kgの犬が1L前後の水を飲む事もあります。
このように、「ちょっとの飲む量が多いな」というレベルではなく、異常なほどに水を飲む様子が連日続いている場合は、すぐに検査を受けることをおすすめします。
水を飲む量を把握するために
激しい運動を行った後や、緊張が続く状況、気温が暑い状況など、犬が水を大量に飲む場合にも、いくつかのケースが想定されます。
こうした状況下では、当然ながら普段よりも一時的に水を飲む量が多くなりますが、病気を引き起こしている場合は平常時でも飲水する量が増加します。
特に変わった状況に置かれていないのに、水の量が増えてきたなと感じた場合、犬の体には何かしらの異変が生じている可能性を疑うようにしましょう。
また、普段から愛犬の水を飲む量を把握しておくことで、獣医師さんにも「これくらい飲んでいる」と伝えることもできます。普段から愛犬が飲水している水の量を把握しておく癖をつけておくと良いでしょう。
水の多飲から予測される病気とは
犬が水を大量に飲む際に疑われる病気には、簡単に挙げただけでも下記の病気が予測されます。
- 糖尿病
- 泌尿器系のトラブル
- クッシング症候群
- アジソン病
- 尿崩症
- 慢性胃炎
- 腸閉塞
- 慢性腸炎
- 小腸性下痢症
- 肝性脳症
- 高窒素血症
- 前立腺膿瘍
- 子宮蓄膿症
これらの病気を飼い主さんが特定するのは、なかなか難しいといえるでしょう。しかし、普段の行動や水を飲む量を把握しておくことで、取るべき対応や病気の特定もしやすくなってきます。
動物病院では検査が行われますが、普段の様子なども伝えることができれば、それだけ病気への対処、これまでの生活をどのように切り替えていくかの相談をすることもできるでしょう。
では具体的に、水を大量に飲む症状が見られる病気について詳しく解説していきますが、この中でもまず疑うべき病気が「糖尿病」です。
まず疑うべき病気は「糖尿病」
高齢である場合には後述する「慢性腎不全」の疑いもありますが、高齢ではない場合で飲水が多く、食欲が落ちていないのに痩せる様子が見られれば、糖尿病の可能性が高いと言えるでしょう。
糖尿病には2つのタイプがありますが、いずれもインスリンと呼ばれるホルモンに関係する病気で、遺伝性であるケースのほか、肥満体質や感染症が原因となっているケースがあります。
糖尿病を引き起こすと免疫力の低下を引き起こし、他の病気を併発してしまいます。早期発見・早期治療が重要となりますが、多飲のサインを見落とすことのないよう、日頃から飲水の量は把握しておくようにしましょう。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」は、副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる病気で、免疫力の低下や糖尿病を併発するほか、場合によっては命に関わる場合もある病気です。
左右対称に毛が抜けてしまったり、お腹が膨れるといった見た目からもわかる症状のほか、とにかく大量に水を飲むという症状がクッシング症候群の特徴です。
クッシング症候群の原因は、アトピー性皮膚炎などの治療で処方されるコルチコステロイド剤と呼ばれる薬が影響する、医原性を原因とするケースもありますが、基本的にクッシング症候群を予防する方法はありません。
高齢犬に多く見られる病気ですが、眠ることが多いという症状もあるため加齢によるものと勘違いされがちです。早期発見・早期治療がポイントとなるので、水を飲む量に異変が感じられたら、他の症状にも心当たりが無いかをチェックしましょう。
アジソン病(副腎皮質機能低下症)
「アジソン病(副腎皮質機能低下症)」はクッシング症候群と逆に、副腎皮質ホルモンの分泌が低下することで引き起こされる病気で、体重の減少や嘔吐・下痢のほか、水を過剰に飲むという症状が見られます。
アジソン病には急性と慢性の2つのタイプがありますが、急性の場合はフラフラと歩いていたり、明らかに元気がない様子が見られるのですぐに気がつくことができるかと思いますが、場合によっては命にも関わる事態になるため注意が必要です。
また、クッシング症候群と同様にステロイド剤による影響で引き起こされる医原性のケースもあり、メスに多く見られる病気でもあります。
アジソン病も早期発見・早期治療が大切な病気です。水の量が多いと感じたら、クッシング症候群と並んでホルモン異常である事を疑ってみても良いでしょう。
子宮蓄膿症
アジソン病はメスに多く見られる病気と説明しましたが、メス特有の病気の一つでもある「子宮蓄膿症」は子宮が細菌感染を起こし、膿が子宮に溜まってしまうことで引き起こされる症状です。
メスの中でも特に高齢のメス犬に多く見られる病気で、外科手術で子宮を摘出する治療が行われます。膿を排出させる内科治療もありますが、再発を考えれば子宮を摘出、もしくは予防策として避妊手術を事前に行っておくことをおすすめします。
この子宮蓄膿症でも、水を多量に飲むという症状が見られます。他にも多尿やお腹が膨れる、元気の消失、嘔吐・下痢といった症状が見られますが、症状が悪化してくると腎不全などを引き起こす恐れもあるため、注意が必要です。
慢性腎不全
腎不全には急性・慢性と2つのタイプが存在しますが、いずれのケースも早期発見・早期治療を施さなければ命に関わる、重大な事態になりかねない恐ろしい病気です。
急性腎不全である場合、食欲不振や嘔吐のほか、尿の量が少なくなるといった症状が見られますが、慢性腎不全の場合には逆に水を大量にのみ、薄い尿を大量に排出するようになります。
慢性腎不全は静かに症状が進み、気がついた時には重篤な症状に陥っているケースも少なくありません。進行している中でも、多飲多尿の症状が重要なサインとなりますので、尿の色も合わせて確認するようにしましょう。
薄い尿は腎臓が正常に働いていない証拠です。水を飲む量を把握しておくことも大切ですが、日頃から愛犬の尿の色も把握しておくようにしましょう。
まとめ
犬が病気になってしまった場合には、普段とは違った行動を取るようになります。水を飲むという、普段から何気なく行っている行動も病気のサインとして判断できる行動の一つです。
犬の一つ一つの行動を把握しておくことは、病気の早期発見・早期治療にも繋がるものなので、普段から「どのくらい飲んでいるか」「どのようなタイミングで飲んでいるか」「どういう飲み方をしているか」など、愛犬の行動を把握しておくようにしましょう。