犬種によって異なるダブルコートとシングルコートの違いや特徴について
公開日 2020.07.27 更新日 2024.11.17抜け毛が多いと言われる犬種や抜け毛が少ないと言われる犬種、硬い毛の犬種や柔らかな触り心地をした犬種など、世界に700種以上も存在する犬の種類も、実は大きく2つのタイプに分けることができます。その2タイプというのが「シングルコート」と呼ばれる被毛の犬種と「ダブルコート」と呼ばれる被毛の犬種です。ダブルコートとシングルコートでは犬のケア方法も変わってきますので、愛犬がどちらのタイプなのかを把握することが大事です。
そこで今回はダブルコートとシングルコートの違いや、それぞれの被毛のメリット・デメリットなどについて解説していきたいと思います。
犬種による被毛の違いについて
1層構造のシングルコートと、2層構造のダブルコート。同じように見える犬の毛も、実は被毛の生え方に大きな違いがあり、ダブルコート・シングルコートの2タイプに分けることができます。
本記事では、参考犬種として下記の4犬種を例にあげて解説していきたいと思います。
- 日本原産の短毛種「柴犬」
- 長毛・短毛の両タイプが存在するメキシコ原産の「チワワ」
- ドイツ(及びフランス)原産のカーリーヘアが人気の「トイ・プードル」
- 耳の毛が美しいスペイン(及びフランス)原産の長毛種「パピヨン」
以上に挙げる犬種をイメージしながら、被毛の違いについて学んでいきましょう。
「被毛の違い」を知っておこう!
上記にあげた犬種を2タイプに分けると「柴犬」と「チワワ」がダブルコートの犬種、「トイ・プードル」と「パピヨン」がシングルコートの犬種に分けられます。
「抜け毛が多い」と言われる柴犬はダブルコートの犬種で、シングルコートのトイ・プードルにいたっては、抜け毛がないとまで言われる犬種です。
こうして比べるとダブルコートは抜け毛が多く、シングルコートは抜け毛が無いと勘違いしてしまいますが、プードルと同じシングルコートのパピヨンに関しては、普通に抜け毛のある犬種です。
それぞれの犬種はダブル・シングルの2タイプに分けることができますが、必ずしもシングルコートの犬種が抜け毛がないということではありません。ダブルコート・シングルコートの違いは、あくまでも被毛の生え方の違いということを理解しておきましょう。
オーバーコートとアンダーコートについて
続いて理解しておきたいのが、「オーバーコート」と「アンダーコート」の違いについてです。
オーバーコートとは犬の皮膚を守るために生えている上層の被毛のことで、太くて長いという特徴があり、紫外線や強い刺激が加わらないよう、皮膚を守っている大切な被毛です。
また、オーバーコートという呼称のほかにも、「上毛」や「トップコート」とも呼ばれます。
一方のアンダーコートは下に生えている「下毛」の被毛で、細くて短いという特徴があります。アンダーコートの役割は、季節に応じて毛の密度を変え、犬の体温調節や保温・保湿などを行う大切な役割があります。
オーバーコートとアンダーコートの違いとは?
オーバーコートとアンダーコートの違いについて説明しましたが、シングルコートの犬の被毛はオーバーコートのみが生えており、ダブルコートの犬の被毛はオーバーコートとアンダーコートの2層構造になっています。
こうした被毛の違いは、その犬種の発祥である原産国の自然環境や温度環境、仕事に従事するための品種改良などの理由によって違っています。
では具体的に、ダブルコートとシングルコートの違いを見ていきましょう。
ダブルコートの犬種と被毛の特徴
オーバーコートとアンダーコートの2層の被毛を持つダブルコート。その特徴となるのが「換毛期」と呼ばれる、毛の生え変わり時期が明確にあることです。
生え変わるのは主にアンダーコートで、春・秋の季節の変わり目や環境に合わせてアンダーコートが生え変わり、犬自身が過ごしやすい被毛へと変わっていきます。
一方のオーパーコートは1年を通じて生え変わりがありますが、アンダーコートのように一気に生え変わるということはありません。ダブルコートの犬種が抜け毛が多い理由は、アンダーコートの換毛期によるものです。
ダブルコートの犬種
柴犬に関しては日本が誕生の地となりますが、日本は春夏秋冬がはっきりとしている環境です。夏は涼しく風通しの良いアンダーコートに、冬は暖かく熱がこもるアンダーコートに生え変わっているわけです。
ダブルコートの犬種は例に上げた柴犬やチワワ以外にも、下記に上げる犬種が該当します。
- ウェルシュ・コーギー
- ポメラニアン
- ゴールデンレトリバー
- ラブラドールレトリーバー
- ダックスフンド など
これらの犬種以外にもダブルコートの犬種はたくさん存在します。それぞれの犬種が誕生した土地や環境では、毛の生え変わりが必要な環境だったという事がわかるわけです。
ダブルコートの犬種は日頃からブラッシングを行うなど、被毛管理が大変というデメリットはありますが、皮膚・被毛の健康を維持しやすい事はメリットでもあります。
両タイプが存在するチワワ
実はチワワに関してはダブルコートとシングルコート、両方のタイプが存在する犬種でもあります。
チワワには毛の短いスムースコート、毛の長いロングコートの両タイプが存在する犬種で、スムースコートのチワワはシングルコート、ロングコートのチワワはダブルコートのチワワです。
他の犬種ではあまり見られない珍しいケースですが、同じチワワでも被毛の違いがあるので、被毛の管理はそれぞれ適した方法が必要となります。
シングルコートの犬種と被毛の特徴
シングルコートは1年間を通じて毛が生え変わってはいますが、ダブルコートのように季節に応じて毛の生え変わる量が増えるということはありません。
前述では抜け毛の多さに違いはないと説明しましたが、ダブルコートとシングルコートを比較すると、比較的シングルコートの犬種の方が抜け毛が少ないというのは、こうした理由からです。
シングルコートの犬種には例に挙げたトイ・プードルとパピヨン以外に、下記の犬種が該当します。
- ヨークシャーテリア
- マルチーズ
- ミニチュアピンシャー
- フレンチブルドッグ
毛が伸び続ける犬種と生え変わる犬種
同じシングルコートの犬種でも、トイ・プードルは抜け毛が本当に少ない犬種です。一方のパピヨンは多少なりとも抜け毛がありますが、両犬種での大きな違いは、トイ・プードルは毛が伸び続けるという点です。
そのため、トイ・プードルはトリミングが必ず必要になる犬種です。パピヨンもトリミングは必要ですが、基本的に長さを揃えたり、体を綺麗に維持するためのケアとなります。
一方のトイ・プードルは毛が伸び続けるため、定期的にカットしてあげなければ皮膚の健康を保つことができず、しっかりと皮膚の洗浄を行わなければ汚れも溜まってしまいます。
シングルコートの犬種は抜け毛が少ない点がメリットにはなりますが、その分、飼い主さんが適切な被毛管理を行わなければならないというデメリットもあるわけです。
まとめ
ダブルコートとシングルコートの違いや特徴について解説してきましたが、同じ犬という動物であっても、それぞれの犬種で被毛の違いがありますので、管理方法も大きく異なるということがおわかりいただけたかと思います。
ダブルコート・シングルコートの大きな違いはありますが、犬種それぞれに被毛管理の方法やケアの仕方は大きく異なりますので、犬種の特徴を理解し、適切な管理を行う必要があるのです。
より愛犬に適した被毛管理が行えるように、愛犬がどちらのタイプなのかをしっかりと把握しておきましょう。