犬が口にした物を取り上げる方法とは?犬の気持ちと注意点を解説
公開日 2020.12.01 更新日 2024.11.21子犬やいたずらが大好きな犬は、家の中にある物や、飼い主さんが大切にしている物を咥えて遊んだりもしますが、口に咥えただけと安易に考えるのは危険です。口に咥えたということは、その後は破壊してみたり、飲み込んで味を確かめてみたりといった行動に移りますので、単に物を破壊されるだけでなく、犬の命に関わるような事態に発展してしまう場合もあります。そこで今回は、犬が口にしたもの物を取り上げる方法や、取り上げる際の注意点などについて解説していきたいと思います。
犬が口にした物と犬の気持ち
犬が口にしている物を取り上げるのには、非常に重要なしつけの意味が込められています。
例えば、口にしてしまったものが「チョコレート」や「タバコ」だったり、「スマートフォン」や「硬貨」であった場合を想像してみてください。
ある保険会社の調査では、犬と猫の誤飲による問い合わせの割合のうち、犬が占める割合は86%という結果に。その中でも最も多かった誤飲が「チョコレート類」という結果も出ています。
因みに2番目が「ネギ類」、3番目が「タバコ」と続きますが、いずれも犬の健康に悪影響を与え、場合によっては命にも関わる物が誤飲の対象となっています。
好奇心と遊びで口にする場合が多い
犬は好奇心旺盛な動物ですので、目にしたものや臭いのするものに強い好奇心を抱きます。私達が物に触れて確かめるのと同様に、犬は口に加えて感触や臭いを確かめるわけです。
そんな興味のあるものを、口に加えた途端に飼い主に取り上げられてしまうと、逆に犬の好奇心は倍増してしまい、隙があればまた手に入れようと考えてしまいます。
また、口にしてはいけないものを咥えた時に飼い主さんが大慌てになっていると、犬の目には「遊び」の延長に映ってしまいます。そして、「これを咥えると飼い主さんが遊んでくれる!」と言う思考になっていくわけです。
「横取りされた!」と理解する犬も
犬の性格にも色々あり、上記のように「遊び」として捉える場合もありますが、中には「横取りされた!」と考える犬もいます。どちらかと言えば、こちらの反応のほうが犬らしく、自然界では当然の反応といえます。
手に入れた物をこれからじっくりと楽しもうと思った矢先に、誰かに物を横取りされると私達も不愉快な気分になるかと思いますが、犬も同様に同じ気分に陥るわけです。
このように感じ取る犬の多くは、物に執着しすぎるあまり、飼い主さんであっても攻撃的な態度をとる事でしょう。無理に取ろうとすると、咬まれる可能性が高いので注意が必要です。
事故が起きる前に正しいしつけを
犬の性格や飼育環境によって、犬が口にした物を取り上げた時の反応や気持ちは異なりますが、いずれの場合も口にしてはいけない物を咥えた場合、スムーズに取り上げられるようにならなければ、いつか事故に繋がる可能性が高くなります。
そのためには日頃のしつけが重要になってきますが、まずは具体的に、どのようにして犬が口にした物を取り上げるのか、スムーズに取り上げる方法について解説していきたいと思います。
犬が口にした物を取り上げる方法
犬が口にした物を取り上げる最善の方法となるのは「犬の気を逸らす」ことや、「物々交換」を理解させることです。
食べ物以外の愛犬お気に入りのおもちゃ等を作っておくと、よりしつけが行いやすいのですが、咥えているものよりも、更に上を行く興味を愛犬に与えるのです。
大半の犬は興味が移ると口元が緩み、咥えていた物をポロッと落としたり、素早く飼い主さんが回収しても気が付かなくなります。
「飼い主さんと "すごく" 楽しく遊べる」といった対象のおもちゃを、普段から1つ2つ作っておくとより効果的です。また、こうしたおもちゃがあると、キャッチ&リリースのしつけが行いやすくなるのもメリットです。
最悪の場合には食べ物で「物々交換」を
上記で説明したような方法でも取り上げられない場合は、食べ物で意識を逸らせたり、物々交換で咥えている物を取り上げる方法もあります。
極端な例えになりますが、拾った100円玉を500円玉と交換するようなイメージです。犬にとっての100円玉が「口にしてはいけない物」だった場合、それを上回る500円玉の対象となるのはおやつなど、お気に入りの食べ物となります。
ただし、この方法を繰り返してしまうと「何かを咥えるとおやつが貰える」と理解してしまいますので、かなり危険なものを咥えている場合にのみ行いたい方法です。
「交換」で取り上げる方法と注意点
「物々交換」で犬が口にした物を取り上げる方法ですが、重要なポイントとなるのは、あくまでも飼い主さんが優先で、主導権は飼い主さんにあるという事を忘れてはいけません。
先に物を与えてしまうと、気が立っている犬は2つとも手に入れようと考えます(もしくは、どちらも失いたくない)。結果、攻撃的になっている犬から物を取り戻せずに終わってしまいます。
そうならないためにも、順を踏んで愛犬から物を取り上げられるようにしましょう。
STEP1:意識を逸らせる
まずは犬がお気に入りの食べ物を目の前にちらつかせ、意識を少しでも逸らせられるようにしましょう。
視覚だけでなく嗅覚も利用させるなどして、できるだけ意識を分散させることが大切です。この段階で意識が逸らせられるようであれば、ステップ2に移行しましょう。
STEP2:取り上げる
次のステップでは、日頃から愛犬におやつを与える際に行っている行動を取りましょう。「おすわり」や「お手」といったしつけ、食器の中に入れるなど、日頃から行っている方法です。ただし、手に持った状態のほうがやりやすいでしょう。
多くの犬はこの段階に入ると、口に咥えている物に対しての執着が薄れてきているはずです。交換するものを見せながら、手で触れられるようであれば口に咥えている物を摑みましょう。
ただし、この段階で無理に引っ張ってしまうと執着していた意識が戻ってしまいますので、取れそうな場合だけ取るようにしましょう。
STEP3:食べ物を与える
ステップ2の段階でも口から離さない場合は、いよいよ犬の口元に食べ物を近づけさせます。
犬におやつを咥えさせ、先に物を取り上げてから犬におやつを与えるという流れですが、重要なのは「先に物を取り上げる」ことです。完全に物を取り上げていないのに、おやつを与えてしまってはいけません。
ポイントと応用を解説
靴下を口にしたり、何かを壊そうとしていたりと、犬が何かを口にする行為は特に子犬に多いですが、この物々交換の方法を応用して、普段からのしつけに利用してみましょう。
方法は全く同じですが、違う点は「おやつ」となる物を「手の中に入れる」ということだけです。つまり、手に持っているふりをするのです。
何度か反復練習が必要になりますが、手の中におやつがあると疑わなくなるため、握りしめた手を差し出すだけで、物々交換が成立するようになります。実際には交換になっていませんが。
これを繰り返すうちに、物を咥えても何も貰えないと理解し始め、口にする頻度も減ってくるでしょう。
まとめ
どうしたら、犬が危険なものを口にしなくなるのでしょうか。極論になりますが、その答えは「犬が届くところに物を置かない」ことです。度々、こうした事が起こるようであれば、それは飼育環境を改善しなければならないことを意味します。
「遊び」で物を咥えていいのはおもちゃだけ、他のものは厳しくしつけていかなければなりませんが、できるだけ興味を起こすような物を置かないようにし、例え口に物を咥えても「悪いことが起きる」としつけていく必要があります。
今回説明したのはあくまでも「口にした物を取り上げる方法」になりますので、その後のしつけは十分に行うようにしましょう。