犬の分離不安症を克服する対策について解説!原因としつけが重要ポイントに
公開日 2020.08.25 更新日 2024.11.18犬は本来、集団で行動する動物です。また、この集団の中には必ずリーダーとなる犬が存在し、リーダー犬と行動を共にすることで社会性や組織力を身に着け、学んでいきます。しかし、留守番が多く孤独な時間が長かったり、以前にトラウマになるような出来事が起きていると、分離不安症という障害を引き起こしてしまう場合があります。今回は犬の分離不安症について、原因や対策なども交えて解説していきたいと思います。
「分離不安症」という症状
飼い主さんが仕事へ出かける時はもちろん、トイレに移動したり、ちょっと愛犬の元から離れただけで、そわそわと落ち着かない様子を見せることはないでしょうか。
こうした様子が見られるようであれば、もしかすると愛犬は「分離不安症」と呼ばれる、心理的な障害を引き起こしているのかもしれません。
分離不安症とは、飼い主さんや飼われている場所から離れてしまうと、極端に不安な気持ちになってしまう心理的な障害で、分離不安症という呼ばれ方の他にも「分離不安障害」と呼ばれることもあります。
犬の分離不安症の症状とは
文字のとおり、分離不安症は「病気」ではなく「障害」になりますが、強いて言えば心の病気になるでしょう。
そんな分離不安症ですが、愛犬が以下の症状や状態であることが確認できれば、分離不安症の可能性を疑うべきです。
- 飼い主さんが移動すると、ずっとついて来る
- 飼い主さんがいなくなっても吠え続けている
- 帰宅すると部屋を荒らしている事が多い
- トイレを覚えているのに別の場所にしてしまう
- 食欲がない
- 下痢・嘔吐が多い
- 自分の手や足を咬む、もしくは舐め続ける
留守中でも帰宅時でも見られる症状
上から症状の重い順に挙げてみましたが、愛犬の行動に該当するものはあるでしょうか。
飼い主さんが出かける時に見られる症状や、留守中に起こしている症状、飼い主さんがいても見られる症状など、分離不安症の症状は一つのパターンに限られたものではありません。
出かける際に吠えたり後をつけてくる犬は多いですが、分離不安症の場合はその行動も極端で、飼い主さんがトイレに立つ時や、お風呂に入る時にも不安そうな様子をみせます。
日頃から愛犬の様子をよく観察するようにし、いち早く気がついてあげられるようにしましょう。では続いて、なぜ分離不安症を引き起こしてしまうのか、その原因について解説していきたいと思います。
犬の分離不安症の原因とは
分離不安症の原因となっているのは、愛犬が感じている極度のストレスです。
ストレスと聞くと飼い主さんも不安になってしまうと思いますが、愛犬は1秒でも多く飼い主さんと一緒にいたいと感じています。
しかし、飼い主さんが出かけてしまえば、当然ながら愛犬は飼い主さんがいないことにストレスを感じてしまうのです。飼い主さんがストレスを与えているというよりかは、ストレスを感じさせてしまっているわけです。
運動不足や退屈が分離不安症を引き起こす
分離不安症は飼い主が頻繁に変わったり、幼い頃に起きた出来事に対して引き起こされる場合もありますが、幼犬や活発な犬が運動不足である場合にも分離不安症を引き起こしてしまいます。
愛犬と遊ぶ時間は足りているでしょうか。愛犬と散歩に行っているでしょうか、また十分な時間を散歩に割いているでしょうか。分離不安症の原因を探るためにも、普段の生活スタイルを思い返してみましょう。
また、前の飼い主に捨てられた経験があったり、生活スタイルが頻繁に変わっていたり、同居犬が増えたりなど、愛犬が混乱してしまう出来事は起きていないでしょうか。
こうした出来事に対しても、柔軟に受け入れられない犬もいます。このケースですと比較的、愛犬の様子が変わったことに気が付きやすいと思いますが、なぜ分離不安症を引き起こしたのかを明確にすることが大切になります。
「しつけ不足」も分離不安症の原因に
愛犬に十分なしつけを行っているかどうかも、分離不安症の原因を探るためには大切なポイントとなります。
冒頭でも説明したとおり、犬は集団で行動を共にする動物で、リーダー犬に従って行動することで安心感を得たり、組織力を身に着けていきます。
ペットとして犬を飼育する際には、愛犬にとって飼い主さんがリーダーとなるため、十分なしつけを行っていない場合、愛犬はどのように動いたら良いのか不安や混乱をおぼえます。
しつけと聞くと厳しくしていかなければならないと感じてしまいますが、犬にとって「規律」のある生活は、むしろ安心感に繋がるものです。十分なしつけが行われていれば、愛犬も不安を感じずに行動を共にすることができるのです。
分離不安症の対策はある?
分離不安症の対策として挙げられる方法は、十分にしつけを行い、分離不安症を乗り越えるという方法です。
愛犬にとって飼い主さんと離れてしまうのは、ストレスがかかってしまう悲しい出来事ですが、ここを乗り越えなければ分離不安症を克服することはできません。
飼い主さんにも生活がありますので、ここはしっかりと留守番ができるよう、しつけていかなければなりません。いつまでも愛犬のケアばかりしていては、愛犬も甘えてしまい、分離不安症を乗り越えることができなくなります。
少しずつ留守番の練習をしてみましょう
分離不安症は精神的な障害ですので、すぐに解決できる問題ではありません。
愛犬が少しの時間でも離れると、すぐに不安になってしまっているようであれば、留守番できる時間を少しずつ伸ばしていけるよう、練習をしてみましょう。
始めは5分程度からはじめ、10分、30分、1時間と留守番の時間を徐々に伸ばしていきましょう。また、戻った際に極端に褒めるなどをせず、いつも通りの様子を演じてみましょう。
例えば、出かける際に騒いでしまうのは、「いってきます」の合図が留守番中の寂しさを思い出させるためです。それであれば「無」の状態で何も感じさせないほうが、愛犬のためになる可能性があります。
飼い主さんが極端な動きをすると、愛犬も過剰に反応してしまいます。留守番させる時、帰ってきた時は何事もなかったようにした方が、愛犬も不安を感じなくなります。
まずは分離不安症を克服させる
厳しいようですが、飼い主さんが行わなくてはならないことと、愛犬と一緒にいられる事の線引をはっきりと引くようにしましょう。
愛犬は飼い主さんのことが大好きですので、どうしても飼い主さんに頼ってしまいます。極端に遠ざける必要はありませんが、「常に愛犬を気にしている」と思われない事が大切です。
愛犬としっかりと向き合う時間を作り、駄目な時はダメとメリハリをつけた生活を送らせるようにしましょう。
分離不安症以外の症状にも注意
今回は分離不安症について解説してきましたが、分離不安症の症状の中には、本当の病気の症状も含まれます。食欲の減退や下痢・嘔吐といった症状は、特に様々な病気でも見られる初期症状です。
あまりにもこうした症状が酷かったり、頻発しているようであれば、動物病院で検査を受けるようにしましょう。
また、トイレを覚えているのに外してしまったり、別の場所でトイレをしてしまうのは泌尿器系の病気も疑われます。その際にはどのような時に起きているかなど、分離不安症の症状も加えて説明できると良いでしょう。
まとめ
分離不安症は精神的な障害ですが、乗り越えられる障害です。分離不安症を引き起こすと、愛犬も大変ですが飼い主さんも大変な目にあってしまいます。
愛犬に「いってきます」や「ただいま」といった合図は、分離不安症を乗り越えた時に必ずできるようになります。
それまでは分離不安症を克服できるよう、しっかりとしつけを行い、愛犬が不安を感じない毎日を過ごせるようにしてあげましょう。